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[映画] 2017年7〜9月の映画感想

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No.鑑賞日評価タイトル/原題製作年/製作国監督
262017/07/03★★★☆☆ハクソー・リッジ/Hacksaw Ridge2016年/米国メル・ギブソン
272017/07/16★★★★☆裁き/Court2014年/インドチャイタニヤ・タームハネー
282017/07/16★★★★☆甘き人生/Fai bei sogni (Sweet Dreams)2016年/イタリアマルコ・ベロッキオ
292017/07/22★★★★☆ダンサー、セルゲイ・ポルーニン:世界一優雅な野獣/Dancer2016年/英国・米国スティーブン・カンター
302017/07/30★★★★☆ファウンダー:ハンバーガー帝国のヒミツ/The Founder2016年/米国ジョン・リー・ハンコック
312017/08/06★★★★☆ブランカとギター弾き/Blanka2015年/イタリア長谷井宏紀
322017/09/02★★★☆☆米軍(アメリカ)が最も恐れた男:その名は、カメジロー2017年/日本佐古忠彦
332017/09/29★★★★★サーミの血/Sameblod (Sami Blood)2016年/スウェーデン・デンマーク・ノルウェーアマンダ・ケンネル

#26:M.ギブソン『ハクソー・リッジ』(2016年 米国)

7月に入って最初の映画。日曜の最終回で見た『#ハクソーリッジ』。 最近#アンドリューガーフィールド をよく見るようになったと思う。『ソーシャル・ネットワーク』でマーク・ザッカーバーグと一緒にThe Facebookを共同創業したエドゥアルド・サヴェリン役のイメージが強いけれど、『沈黙』にも出ていたし。『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンと付き合ってるのかー。 キリスト教徒としての#メルギブソン の監督作品。「良心的兵役拒否者」ながら衛生兵として活躍したデズモンド・ドスのことを描いた作品。 信仰と個人の信念から武器を持てない兵士という矛盾的な人物を借りて描こうとしたのは、戦場という極限状態においても、そして、その生存が他の兵士の銃に守られたものであろうと、信仰や信念は強いものだということだろう。 戦場の描写はかなりエグい。そして、こんな激しい戦闘の結果として得た沖縄という要所を米軍が離れるということはないだろうなという気がした。 日本兵の描き方はかなりステレオタイプ。もったいぶった形で切腹シーンを含めているあたりからも、メル・ギブソンは差別主義者なんだろうなあという印象を持った。 前半でしか出演しないヒロイン ドロシー役の#テリーサパーマー はきれいでかわいいんだけれど、10年くらい前のスカーレット・ヨハンソンから匂い立つようなエロさを省いた感じ、という形容するといいんだか悪いんだかわからないようになってしまった。 2017年 通算26本目 感想:★★★☆☆ #HacksawRidge #Film #Movie #MovieList2017 #MelGibson #AndrewGarfield #TeresaPalmer

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#27:C.タームハネー『裁き』(2014年 印)

3連休、読まなくてはならない論文などを読みつつ、合間に立て続けに2本映画を見てきた。今年27・28本目。 ひとつめは、インド映画『#裁き』。ある下水清掃人の死に関わったのではないかと疑われる下層カースト出身の民衆詩人(歌手)の老人の裁判過程をコミカルに描いた作品。 2014年の作品をこの時期に公開しているというのは、もちろんのこと、日本で成立した「#共謀罪」に関する法整備(#改正組織的犯罪処罰法)の問題に対する配給会社の姿勢によるものだろう。実際、本作の被告である詩人 カンブレは、おそらくは若い頃の政治活動のためにマークされているのか、たびたび逮捕されることになる。 この問題を脇に置くと、本作の描写でとりわけ強調されるのは、裁く者(判事)、告発する者(検事)、弁護する者(弁護士)のいずれも裁きの場を離れると、ごく一般な市民生活を送る存在だということで、しばしばそれは伝統的な地域コミュニティとも絡んでいる。 弁護士や女検事の私生活のカットもさることながら、ラストのいくつかのシーンはそれを特徴づけている。休廷が宣言されると人が去り、電気が消される場面では、この「裁きの場」は人々が集まり一時的に生まれた場であることを思わされるし(つまり、「制度」というものは自明のものではない)、エンドロールに音楽が流れず、ずっと鳥のさえずりなどの自然音が使われているのは、この映画のストーリーが日常の延長にあることを示唆している。 後知恵では、この作品の登場人物の姓はそれぞれインドにおける階級を表したものになっているらしい。本作では(外国人にとっては)階級差別の問題が明示的に語られているわけではないが、これを理解しているとより立体的に本作を読み解けるのかもしれない。 また、法廷や一般生活の場面ではマラーティー語が使われている。英語やヒンディー語に対するマラーティー語の文化がインドの中でいかに位置づけられているのかという点も興味深い。 2017年 通算27本目 感想:★★★★☆ #Court #Film #Movie #MovieList2017 #ChaitanyaTamhane #VivekGomber #GeetanjaliKulkarni

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#28:M.ベロッキオ『甘き人生』(2016年 伊)

本日2本目も、同じく渋谷のユーロスペースで公開中の巨匠#ベロッキオ による『#甘き人生』。 ストーリーは、心の中で涙を流し続けた結果、乾いた心を持つようになってしまった男の物語。ヴァレリオ・マスタンドレアが演じる主人公は、幼い時に突然母親を亡くしたというジャーナリスト。イタリアでベストセラーとなった自伝小説の映画化だということらしい。 途中、とても長く感じてしまう部分があるものの、後半の畳み掛ける感じに圧倒されたので★4つ。 人との隔絶感、信じること(信じられないこと)、愛すること、といったテーマを考えさせられる作品。 そして、この作品の豊かさは隠喩的な表現の多さ。数々のシーンの意味していたところを、最後になって理解をさせられるという構成は素晴らしいと思う。 ヒロイン エリーザ役の#ベレニスベジョ がとても美しい。ドレスを着た姿のパーティでの彼女には見とれてしまいます。 2017年 通算28本目 感想:★★★★☆ #FaiBeiSogni #SweetDreams #Film #Movie #MovieList2017 #MarcoBellocchio #ValerioMastandrea #BéréniceBejo #EmmanuelleDevos

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#29:S.カンター『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』(2016年 英・米)

先月、Bunkamura ル・シネマでやっていた王家衛 特集上映の際にさんざん予告編で見て気になっていた作品。ウクライナ出身の天才で、破天荒なバレエダンサー #セルゲイポルーニン のBBCによるドキュメンタリー『#ダンサー、セルゲイ・ポルーニン #世界一優雅な野獣 』。 自分の才能を意識しつつ、それでもさらに他人より努力をして頂きを目指すポルーニンのストイックな姿勢に背筋が伸びる。 また、ウクライナ南部の片田舎でひとり息子の才能にいち早く気付き、自らの夫と母を海外に出稼ぎに出してまで教育資金を確保した母 ガリーナの凄まじさ。すばやく機会を捉え、リソースを適切に配分し、それをやり切る姿勢は、まさに経営者が必要とするそれに等しい。 ポルーニンのドラマは、貧しさの中で家族の幸せを願い、背負ってスターダムを上った天才が後ろを振り返ったときに家族の崩壊を知る絶望だ。それでも「必要ならば同じことをもう一度やる」と言えるガリーナの強さ。 終盤の『Take Me to Church』に合わせた踊りは圧巻。 プレッシャーをしっかりと意識して、前を、そして上を向いて強く進もうと思わせてくれる。『ソーシャルネットワーク』(D. フィンチャー)、『セッション』(D. チャゼル)と並んで、意識を引き上げるときに観る映画としてリストに加えようと思った作品。 2017年 通算29本目 感想:★★★★☆ #Dancer #Film #Movie #MovieList2017 #SergeiPolunin #StevenCantor #BBCfilm #TakeMeToChurch #PoluninTakeMeToChurch #Documentary #DocumentaryFilm

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#30:J.L.ハンコック『ファウンダー:ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年 米)

7月最後の映画は、昨日公開の『#ファウンダー #ハンバーガー帝国のヒミツ』。マクドナルドをフランチャイズ化して巨大企業にした#レイクロック の物語。 日曜の夜に観るべき映画には2つのタイプがある。週末の終わりを静かに閉じるためのダウナー系の映画がひとつ、もう一方は翌日からの新しい週に意識を向けるために戦意を高揚させるようなアッパー系の映画だ。『ファウンダー』は圧倒的に後者の作品。 いかに欲しいものを手に入れるか、そのためには手段を厭わずに目標に邁進できるか。 #マイケルキートン が演じるレイが創業者のマクドナルド兄弟に向かって放つセリフにある。 「ライバルが溺れていたら、口にホースを突っ込む。君たちにそれができるか(If my competitor were drowning, I'd walk over and put a hose right in his mouth. Can you say the same?)」 仕事は戦いだ。そして、そこに必要なものは「根気(persistence)」だ。 タイトルの「ファウンダー(創業者)」は、マクドナルド兄弟からレイが簒奪した肩書き。原題は定冠詞のついた『The Founder』だが、こちらの方がより限定的で凄みがある。 休日を締めくくるのに良い映画を見ることのできた日曜の夜。 2017年 通算30本目 感想:★★★★☆ #TheFounder #Film #Movie #MovieList2017 ##AmericanDream #Entrepreneur #Entrepreneurship #RayKroc #McDonalds #MichaelKeaton #JohnLeeHancock

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#31:長谷井宏紀『ブランカとギター弾き』(2015年 伊)

日本人写真家#長谷井宏紀 がフィリピンで撮ったイタリア映画(ヴェネチア国際映画祭出資による作品)というところだけでも話題になっているらしい作品『#ブランカとギター弾き』が今週の日曜映画。 スラムに育つ孤児 ブランカはお金を貯めて母親を買うということを思い立ち、盲目のギター弾き ピーターと行動を共にする。 ストーリーも映像も、語り方の間合いも、とても詩的。 行動力のある少女 ブランカの強いさまも、(セリフには表れないけれど)母親を連れた子供を目で追ってしまう羨ましさも、どの表現もストレートで素晴らしい。 もちろんのこと、多くの日本の観客にとっては感情移入できるようなストーリーではないだろうけれど、それでもこの作品に普遍性があるとしたら、自ら考えて行動し、けっして弱さを見せない少女の姿だ。 つまるところ、弱さというものは外部環境や置かれた立場という所与の条件によって否応なしに決定されてしまうものではけっしてなく、そうしたものに対してファイティングポーズを取れるか否かで決まるものなのだ。 とても勇気をもらえる作品。 先週の『ファウンダー』とはまったく毛色は違うけれど、月曜日から頑張る気持ちにさせてくれる点では同じ効果を持つような、不思議な作品です。 2017年 通算31本目 感想:★★★★☆ #Blanka #BlankaTheMovie #Film #Movie #MovieList2017 #KohkiHasei #PeterMillari #CydelGabutero

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#32:佐古忠彦『米軍が最も恐れた男:その名は、カメジロー』(2017年 日)

8月はなかなか映画を見る時間を作れなかったのでだいぶ間が開いて今年32本目。ユーロスペースに来るたびにトレイラーで見て気になっていた『#米軍が最も恐れた男:#その名はカメジロー』。沖縄の政治家 #瀬長亀次郎 の対米施政権の活動を追ったドキュメンタリー。 彼自身の演説(音源の残らないものは大杉漣が朗読)やインタビュー映像の語りぶり、そしてそれに今なお魅了されている高齢の沖縄の人々の思い出語りを見ると、いかに瀬長という人物が魅力的であったかが伝わってくるわけだが、一方で、見ながら自分自身が「これは警戒しなくてはいけないやつだ!」というセンサーが働くようなアジテーターという印象。 そういう側面から、レーニンや毛沢東ってどういう人だったんだろうという興味が惹起されました。 他方、こうした「国土」の問題では、沖縄の人々と本土の人々とであまりに温度感が違うし、それゆえにそこに対する意識や知識が違うということを思い知らされる。 作品の冒頭近くで触れられる「天皇メッセージ」(1947年9月)は、どうやら沖縄の地方紙ではしばしば取り上げられるらしいのだけれど、私にとっては初めて知るものだった。日本国憲法が施行(1947年5月)されて「象徴」となった後の天皇陛下の政治発言はどこまで公式のものなのかというのは疑問が残る。 本作品はTBS製作のテレビ番組を拡大したもの。瀬長の活動の記録を共産党との関わりにほとんど触れずに描いたTBSの意図がどこにあるのかということも気になる。 2017年 通算32本目 感想:★★★☆☆ #Documentary #DocumentaryFilm #Film #Movie #MovieList2017

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#33:A.ケンネル『サーミの血』(2016年 スウェーデン・デンマーク・ノルウェー)

『#サーミの血』 2017年 通算33本目 感想:★★★★★ 9月末の金曜の仕事終わり、最終の回でひさびさのアップリンクで鑑賞。 スウェーデンの被差別民サーミ(ラップ人)に生まれた老女の回顧、もしくは老境のロードムービーといった感じ。 ストーリーテリングやカメラワークといったテクニカルな面は、何というかどこも教科書的で秀才感がするけれど、今年見たなかでは『クーリン街少年殺人事件』に並ぶくらいの良さ。 テーマゆえかもしれないけれど、アレハンドロ・イニャリトゥ作品がしばしば感じさせるような詩性がある。 あと、『花様年華』に流れる「夢二のテーマ」がそうであるように、チェロの低い擦弦音がとても情念的で深い。 見ながら考えていたのは「差別のあり方」と「環境を変えようとする意志の強さ」。 この作品は差別というものをとても多角的に描いている。 主人公エレ・マリャらサーミの少年少女が受けるスウェーデンの初等教育は、スウェーデン語を強制し、スウェーデンの臣民として教育する一方で、民族を同化させることはなく、見た目(衣装)にも不可視的部分(教育科目の多寡)にも区別を設けている。 高成績ゆえに進学を望むも制度の壁に阻まれるエレ・マリャが、差別者側/被差別者側のいずれにも属することのできない(赤坂憲雄的)「異人」と化すのは必然といえる。差別者側のシステムでのレールに乗ることを志す彼女は、自分の育った集団からは完全に浮く。 その一方で、この秀才の少女には差別が強く内面化されている。差別者から「臭い」と言われ続けた彼女が、自分の体臭を気にして、髪のにおいを嗅いだり、何度も体を洗うシーンが何度も出てくるが痛ましい描写だ。この内面化は、図らずも差別のシステムを強化している。 幾度と屈辱を味わいながらも苦境から脱しようとするエレ・マリャの姿は逞しい。 ラストシーンも、とても秀才的な画作りだけどとてもよかった。作り手は、きっとすごく勉強するタイプの人なんだろうな(と、勝手な想像)。 第3四半期(第39週)まで終えたけれど、8・9月はなかなか映画館に行けず、年初に立てた週1ペースからは6本のビハインド。2時間程度の娯楽の時間を捻り出せていないのは、多分にタイムマネジメントに課題がある。 第4四半期(多分年末)の巻き返しで数的には帳尻合わせの予定。 #SameBlod #SameBlood #Drama #RoadMovie #Film #Movie #MovieList2017

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Written by shungoarai

10月 1st, 2017 at 9:30 pm

Posted in Film

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