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mixiの「足あと」終了が示すこと

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昨日の夕方、IT関連のニュースサイトは続々とmixiの機能リニューアルに関する記事を掲載しました。

ミクシィは6月6日、SNS「mixi」の「足あと」機能をリニューアルし、新たに「先週の訪問者」機能として6月13日から提供すると発表した。訪問者を「友人」と「その他」に分け、1週間に訪れた人を翌週に表示する。

「足あと」機能は2004年2月のmixi開始当初から、いつ誰が自分のページを訪問したかを把握でき、またページを訪れたことを友人に簡単に伝えられるフィードバック機能として提供してきた。だが最近は「mixiボイス」など足あとがつかないサービスの利用が進んでいる上、「イイネ!」を使って友人へのフィードバックも容易になっており、サービスの多様化とコミュニケーションスタイルの多様化に合わせて改善することにした。

「mixiの『足あと』機能が『先週の訪問者』に リアルタイム履歴表示は終了」, ITmedia ニュース, 2011年6月6日.

Twitter上での反応を見る限り、リアルタイム履歴表示終了を惜しむ声も散見されますが、「足あと」ページが次第に見られなくなってきたという数値的な根拠もあっての決定であろうと思います。私自身は、iPhoneアプリ版に「足あと」ページがないのを見たときに、おやっと思ったのですが、その頃からすでに「足あと」機能のプライオリティは下がっていたのかと推察します。ITmedia の記事中では、

… 最近は「mixiボイス」など足あとがつかないサービスの利用が進んでいる上、「イイネ!」を使って友人へのフィードバックも容易になっており、サービスの多様化とコミュニケーションスタイルの多様化に合わせて改善することにした。

とあるので、「2010年度第4四半期及び通期 決算説明資料」をチェックしてみると、

mixi総コミュニケーション投稿数(株式会社ミクシィ 2010年度通期決算説明会 資料)

とあるように、投稿トレンドは、「mixiのコミュニケーション機能(ボイス、日記、フォト、カレンダー、チェック、チェックイン、イイネ!)の投稿数及び各機能のフィードバック(コメント、イイネ!)数の総計」を指す『総コミュニケーション投稿数』という指標でまとめられてしまっています。では、そのうち「ボイス」がどの程度を占めているのかを見ようとすると、

各コミュニケーション機能の投稿数トレンド(同上)

といった具合に「ボイス」と「チェック」の投稿数が時系列での相対値でのみ表示されていて、絶対値としてどれだけの投稿があるのかはこれだけではわからないのですが、実際のところはかなりの割合をこれらに依存しているのではないかと考えられます。日記の投稿も、「イイネ!」ボタンを押した回数も同様に1としてカウントアップしてしまう「総コミュニケーション投稿数」なる指標はかなりダウトフルですが、そのなかで「足あと」の意味合いが薄れてくるほどに、「ボイス」などがmixi内で発信される情報の総量を牽引しているのでしょう。

このことからは、以下のようなことを示しているのかもしれません。

  1. 「マイミク」を中心としたソーシャルグラフを元にした、mixiのクローズドなコミュニケーションにおいても、やりとりされている情報のひとつひとつは希薄化しているのではないか。
  2. 一方で、このように発信される情報が希薄化し、(イイネ!ボタンなどによって)レスポンスのハードルも低くなったなかでは、「足あと」のような単に「誰がこの情報を見たのか」という情報は意味を持たなくなってきたのではないか。

注意したいのは、ここで「希薄化」と言っているのは、コミュニケーションそのものについてではなく、やりとりされるひとつひとつの情報単体について言っているという点です。情報発信とレスポンスの双方でハードルの低下はやりとりの活発化を促したため、ひとつひとつの情報は希薄化していても、それらを総体として捉えたコミュニケーションは濃くなっているのではないかと感じます。


[Summary]
Early this week, the Japanese SNS mixi announced that it would soon renew a log feature of visitors to users’ own page, so called “Footprints”. The feature has been characteristic of the most popular SNS in Japan since launched in February 2004, and its disuse shows that users’ normal action has shifted from “Write/Read diary” style to “Tweet/Like” style. It may also show that each information distributed over closed social network in mixi becomes thinner while communication gets stronger on the whole led by easiness to send thinner information.

Written by shungoarai

6月 7th, 2011 at 5:00 pm

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