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[BookReview] 宮増浩『管理会計 実践入門』、石野雄一『道具としてのファイナンス』

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▼Week10-#01:宮増浩『管理会計 実践入門』(日本実業出版社, 2012年)

感想:★★★☆☆
読了:2017/03/09

▼Week10-#02:石野雄一『道具としてのファイナンス』(日本実業出版社, 2005年)

感想:★★★★☆
読了:2017/03/13

2017年第10週は、ファイナンス関連で2冊の入門書を読みました。実務ではファイナンスもアカウンティングも司ってはいるものの、すべて必要に迫られて実務で覚えてきたものであるので、基礎から体系だって学んだことはなく、かといってブリーリー&マイヤーズによる有名すぎる教科書『コーポレート・ファイナンス』にいきなり手を付けるのも日和ってしまい、まずは簡単な書物で概要を押さえてから、と考えました。この2冊はともに日本実業出版社の書籍ですが、同社のファイナンス関連の書籍のラインナップには、数年前に読んだ磯崎哲也さんの『起業のファイナンス』もあったりして、それもあって信頼が置ける気がしました。

1冊目の宮増浩『管理会計 実践入門』は、会計実務に関する本というよりは、企業のCFOやCFOオフィスのスタッフがどのように事業の数字(書中の言葉では「非財務情報」)を扱っていくかに重点が置かれている印象です。

ゆえに、(特に)大企業での中計の策定に関わったり、そこで決めた数字をどうやって現実的な施策へと落とし込んでいくかということに悩んだりしたことのある多くの経営企画・経理部門スタッフには馴染みのあるテーマだと思います。「短期実施計画の最大の特徴は、経営管理プロセスのなかで、もっとも大きな財務・非財務情報間の非整合が生じ、それを整合させるために大きな資源をつぎ込まなければならないことです」(宮増『管理会計 実践入門』pp. 88-9)といった記述は、実施計画を作るために連日夜中から会議をして…という経験を持つ方にはとても納得できる部分かと思います。

この書籍の優れたところは会計実務に寄りかかっていないところで、むしろ経営管理を行う立場の者がいかに事業サイドの数字を理解し、そこに想像力を働かせるかという意識で書かれている点だという印象です。

2冊目の石野雄一『道具としてのファイナンス』は、米国のビジネススクールでファイナンスを学んだ銀行出身の財務戦略コンサルタントによるファイナンスの入門書。私自身の関心がコーポレート・ファイナンスにあったので本書の前の方の「証券投資に関する理論」(第2章)はそっくりそのまま読み飛ばしてしまいましたが、後段の「デリバティブの理論と実践的知識」(第6章)などもワラントや転換社債による資金調達などに触れられていて、要は投資の理論(供給サイドの理論)は需要サイドの理論の裏返しでもあるとするなら、読み飛ばすべきではなかったのかもしれません。

一読しただけではもちろん半分も理解していないとは思うものの、どういったところを考えるべきかという地図を示してくれるような本です。ザッと巻末まで目を通した上で、この本でせっかくExcelを用いた複雑な計算について解説されたばかりだから、何かしら練習問題を解くことで定着させたいなどと思っていると、やはり同じことを考えるもののようで、「問題集」が出ているようです。

Written by shungoarai

3月 14th, 2017 at 12:20 am