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[Data]中国における位置情報サービスの成長

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しばらく忙しかったためにブログ更新が止まってしまっていました。

先日の投稿記事では、中国で最大規模のロケーションベースサービス(LBS)である嘀咕(Digu)を創業した李松氏のインタビュー記事を引用しましたが、中国におけるCheck-in型LBSの市場規模予測が調査会社のiResearch(艾瑞咨詢)から今年の3月に出されています(簡易版ダウンロードページ)。

それによると、今後の拡大が以下のように予測されています。

中国におけるLBSユーザー数推移予測

中国におけるCheck-in型LBSユーザー数推移予測(iResearch)

一方、Analysis(易観国際)からも最近、今年第1四半期における中国のCheck-in型LBSユーザー数とその市場シェアに関するリサーチが公表されています。それによれば、中国における累積アカウント数(重複を省いたユーザー数ではない)は655万に達しており、その4分の1程度を嘀咕が占めているという結果です。

Analysis International: Check-in LBS share in China

中国におけるCheck-in型LBSのアカウント数シェア(Analysis International)

嘀咕の他、街旁(Jiepang)切客(Qieke)を合わせた上位3プレイヤーでほぼ市場の半分を占めているような状況です。上にも書いたとおり、これは累積のアカウント数におけるシェアであり、ユーザーの重複を省いたものではないことに注意をしなくてはなりませんが、ユーザーが複数サービスを使い分けている可能性があるので、あるいは「累積アカウント数におけるシェア」という指標はフェアなものなのかもしれません。Foursquare や Gowalla などを使い分けるのは非常にめんどくさいことですが、中国のLBSは、日本で使われているものよりもはるかにクーポン提供などが多いように見えますので(私自身は上海にいる友人から最初に勧められた街旁をメインで使っていますが、さまざまなブランドがバッジやクーポンを提供しています)、自分の行きたいお店と、そこのクーポンがどのサービスで提供されているかをあわせて考慮した上で、場合に応じて使い分けられている可能性も考えられます(ただし、これはいまのところ想像の域を出ません)。

開発途上国向けの廉価版 iPhone の開発が進められていること(参考:WSJ 日本版記事)や、これらのサービスがスマートフォン端末へのプリインストールを進めていること(例えば、街旁は中国ではHTCとSony Ericsson製端末にプリインストールされています。参考:街旁 Webサイト)も考えると、中国でのCheck-in型サービス市場はスマートフォンの普及とともに成長をしていくことが見込まれます。

ちなみに、街旁のCEO David Liu氏のインタビュー記事が先週の Penn Olson に掲載されていたので興味のある方はご一読ください。


[Summary]
According to sources from iResearch and Analysis, both of which are market researcher in internet industry in China market, check-in style LBS (location-based service) is growing fast and almost half of the current market share is had by top 3 services (based on the number of account) are Digu (25.5%), Jiepang (11.8%) and Qieke (9.8%). LBS growth synchronizes with the penetration of smartphone with GPS function everywhere in the world, of course in China. We should notice that Apple is now preparing cheaper iPhone devices for developing countries and some LBS has already tied up with smartphone makers in order to pre-install their services onto the devices.

Written by shungoarai

6月 26th, 2011 at 6:30 pm

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3つの「中国版LinkedIn」 – 優士網(Ushi)、経緯(Jingwei)、恒知網(Hengzhi)

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Bloomberg の記事によると、LinkedIn の国際事業担当副社長 Arvind Rajan 氏は、先日北京で行われたテクノロジー関連のカンファレンスで、「魅力的な中国市場への進出は慎重に行いたい。果敢に飛び込むが成功できない、というようなことは避けたい」と話しています。一方で、この中国市場には、LinkedIn の全世界での現ユーザー数に匹敵する約1億人の潜在ターゲットがいるということも Rajan 氏は語っています。LinkedIn は、Facebook や Twitter など他のサービスと比べると珍しく、中国で禁止されていないサービスですが、いまのところ慎重な姿勢をとろうという判断のようです。

そうしたなか、中国では同様のローカルなサービスが続々と出ています。そこで、Technode の記事をもとに見てみると、これまでに聯絡家(Linklist)、天際網(Tianji)、Xing などいくつものサービスが立ち上がったり海外から参入しては、収縮・撤退しているようです。そうした状況は、中国の文化的背景にもよるようです。

LinkedIn のコピーや Xing といったサービスが中国で流行らない理由は簡単だ。人人網(RenRen)や開心網(Kaixin001)が比較的たやすく成長しているのは、中国人は、写真のアップロードや、リンクの共有、友人にちょっかいを出したりソーシャルゲームで遊ぶのが好きだからだが、ことビジネスとなると中国人は慎重になり、伝統的な方法を好むのだ。それは、個人的な面会や会食といったもので、もちろん酒席も含まれる。話し合いをするならサービス内のメッセージのやりとりを使うよりも、いまだ電話の方が好まれる。オンラインでビジネス上の「関係(Guanxi)」をうまく維持する方法はいまのところほとんどない。

現時点では、以下の3つのサービスが「中国版LinkedIn」としてまずまずうまくやっているようです。

  1. 優士網(优士网, Ushi)
    2010年2月にベータ版ローンチ、同年10月に正式ローンチ。20万ユーザーには、12,000名のCEOと5,000名のCTOを含む。 (優士網については こちらの記事 で詳しく解説されています)
  2. 経緯(经纬, Jingwei)
    今年3月にベータ版ローンチ。中国のSNS最大手「人人網」が運営。 Q&Aを充実させることで、LinkedIn + Quoraのようなサービスを目指している。
  3. 恒知網(恒知网, Hengzhi)
    2010年2月にローンチ。現在はまだ招待制であるものの、すでに60万ユーザーを持つ。大半のユーザーが28~40歳で、5年以上の勤務歴を持ち、60%以上のユーザーがVP以上のタイトルを持っている。

先行サービスの収縮・撤退などを見たうえでこれらのサービスは、急拡大によるユーザーの質的低下などを防ぎながら、ひとまずは慎重に進めているように見えます。優士網の共同創業者 Dominic Penaloza 氏は以下のように語っています。

天際網の失敗は急速なユーザー拡大によるものだ。優士網ではユーザーをグレード分けしたうえで、そのグレードによってできることに制限を設けている。例えば、アカウントを新規開設したばかりのユーザーは、1日あたり100以上のコンタクト申請をすることができなかったり、コンタクト申請が拒まれれがちなユーザーについてはコンタクト申請を送ること自体が難しくなる、といったことだ。

しかし、Penaloza 氏自身「LinkedIn もそうやっているようにね」と言い添えているように、各サービスとも中国の文化的背景に適合させた機能を付けているといった感じではありません。潜在ターゲット数1億の大きなパイを少しずつ切り取っていくゲームはまだ始まったばかりのようです。

†参照記事:Technode #1, #2, #3, #4, #5


[Summary]
LinkedIn, the most famous and successful professional network in the world, is now seeking for Chinese market which has 100M potential targets, but it will be cautious to go into the Chinese market where many foreign web services such as Google, Twitter and Facebook has been banned. On the other hand, there have already been a several domestic professional networking services in China market, and successful 3 services out of them at present seems to be Ushi, Jingwei and Hengzhi. The competition among these services seems to have just started recently.

Written by shungoarai

6月 11th, 2011 at 8:00 am

新興市場で広がりはじめるファッション通販

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コンサルティングファームのA.T. カーニーから昨年9月に「世界の新興市場 小売企業の参入魅力度 – グローバル小売成長指数2010年版リポート」(日本語訳, 2010年9月, PDF文書)というレポートが出ていますが、このレポートの興味深い点は冒頭に掲げられた参入魅力度のランキングよりも、その先で掲げられた「機会の窓」(各市場の事業機会の大きさ)分析のように思います。

Opportunity curve

GRDI 「機会の窓」(事業機会の大きさ)に関する分析(A.T. カーニー, 2010年)

参入魅力度上位の中国(2010年 1位)やインド(同 3位)は、この中では成熟した市場として位置づけられていますが、一方で、いずれの国についても中間所得層の拡大による小売の継続的成長の見込みや、「より高質なショッピング環境とより強力なブランド」のニーズが述べられています。

約1ヶ月前、ファッションECモール「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、ソフトバンクと合弁で香港に法人を設立し、ソフトバンク子会社のアリババのサポートを受けて中国国内でもサービスを展開するという発表がありました(参考:MarkeZine記事)。また先週も、中国・インドにおけるファッション通販に関する記事がいくつか見られましたが、これは中間所得層による高質な消費へのニーズのあらわれと言えるでしょう。

  1. China’s E-Commerce Giant Taobao Launches Women Apparel Aggregator Site (Penn Olson)
  2. The Gilt for Indian Fashion Exclusively.in Raises $16 Million (TechCrunch)

ひとつめは淘宝(Taobao)が女性向け衣料品専門のサイト「淘宝女装」を新たに立ち上げたニュース、ふたつめはインドのファッションブランド品のファミリーセールサイト「Exclusively.in」(インド版Gilt)が1,600万ドルを調達したニュースです。

インターネットの普及と経済発展が同時に起きている国々においては、あるカテゴリのインターネットサービスの成長を、単にサービスのオンライン化としてのみでなく、消費社会化のバロメータとしても見ることができるような気がします。


[Summary]
There were several news articles about fashion EC services in China and India recently. Emergence and rise of such services surely indicate growing needs for higher quality consumption by middle class as also written in an A.T. Kearney’s report “Expanding Opportunities for Global Retailers”. Especially in countries where internet popularization and economic growth proceed at the same time, a growth of web services in a certain category seems to show not only the extent that category goes online but also the extent of consumer society progress.

Written by shungoarai

5月 30th, 2011 at 5:00 pm

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中国で人気のボイスメッセンジャーアプリ「TalkBox」

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先日、友人の中国人留学生から教えてもらったスマートフォンアプリのひとつ「TalkBox」はとてもおもしろいアプリです。

「TalkBox」は、友人とメッセージをやりとりできるアプリで、感覚としてはSMSや、TwitterのDirect Message機能に似ていますが、決定的に違うのはこのサービスはテキストベースではなく音声ベースでやりとりをするという点です。

音声ベースではあるものの、電話と違って必ずしもリアルタイムなコミュニケーションである必要もないので、まさに音声版SMSといった具合で、UIも上の通り、iPhoneのSMSからヒントを得ているように見えます。

音声を用いた非リアルタイムのコミュニケーションツールというと、留守番電話はそれに当たりますが、携帯電話の留守番電話機能の使い勝手は、知る限りここ10年以上進化したようには見えません。端末を耳にあてながら音声ガイダンスを聞いて、時折端末を耳から離してボタン操作をするという、考えてみると回りくどいこのフローは、ここ10年ずっと変わっていません。「TalkBox」はその点、音声ベースのコミュニケーションツールではあるものの、インターフェイスがビジュアル面でも非常に整理されていて使いやすい点にまず驚きました。周りの人たちがこれを使うようになったら、留守番電話は使わなくなるかも知れません。

この「TalkBox」を開発元である香港のモバイルソリューション企業 Green Tomato のマーケティング担当役員の Jacqueline Chong 氏へのインタビュー記事が TechNode に掲載されています(インタビュー記事)。記事によれば、

  • テキストメッセージを送る際にかなり時間を要するという課題意識から、ボイスメッセンジャーサービスを企画した。
  • 公開後4ヶ月、今年4月に100万ユーザーを突破。
  • ユーザーは中華圏にとどまらず、米国、豪州、NZ、中東など世界各地に広がっている。
  • 3ヶ月以内にはBlackberry版もリリース予定。

とのこと。ユーザーが世界各地に広がっているというのも、このシンプルなUIを見ると納得です。ツールが広く受け入れられるための条件のひとつに、使用する際のガイダンスに多くの言葉を要さないことも挙げられると思いますが、「TalkBox」はその点でユニバーサルとなりうるデザインになっています。これから予定されているという同社製の他のアプリケーションとの連携も含めて注目したいと思います。

TalkBox Voice Messenger App
カテゴリ: ソーシャルネットワーキング
価格: 無料

 


[Summary]
TalkBox Voice Messenger, a smartphone app which one of my friends from China recently let me know, is a voice based instant messenger services, not a text base as many other similar apps. Though created by a Hong Kong based company, the design is simple and has no language barrier for foreigners. With its great value and simple UI, it has already gained over 1M users in 4 months, not only from the Greater China area including Taiwan, Malaysia and Singapore, but also from US, Australia, NZ and even from Middle East.

Written by shungoarai

5月 23rd, 2011 at 5:00 pm

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[Data]中国におけるiPhoneユーザーの特異性

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中国のインターネット産業に関するリサーチやコンサルティングを行っている iResearch(艾瑞諮詢集団) が、中国におけるiPhoneユーザーに関するデータを紹介する記事を21日に公開しています(記事)。最近発行されたレポート “2010 Chinese iPhone Users’ Usage Survey Report” 収録のデータをもとにしたこの記事では、以下の2つのポイントを取り上げています。

  1. iPhoneユーザーの年齢構造を見ると、最も多い層は25〜34歳の層で58.6%を占めている。スマートフォン一般では最も多い層は18〜24歳の層(49.2%)であり、iPhoneユーザーは、他のスマートフォンユーザーよりも年齢がやや高い。
    iResearchは、これには2つの理由があると見ている。すなわち、(1) iPhoneは他の端末より高いため、若いユーザーにとっては手が出しづらい、(2) iPhoneによって利用可能な機能・アプリなどを、娯楽やコミュニケーションを主な用途とする若いスマートフォンユーザーは必要としていない。
  2. iPhoneユーザーがiPhoneを使ってネットサーフィンをする頻度は、他のスマートフォンユーザーよりも低い。
    この理由も、部分的にはiPhoneの多機能性や豊富なアプリにあるとiReserchは見ており、ユーザーの関心はネットサーフィン以外のものへと向けられているのではないかと見られる。

iResearchが記事で見せている見解が正しいとするならば(*)、通常、中国ではiOSよりもAndroid端末の方が大きなシェアを持っていると言われますが、その差は決定的なほどではないようですし(参考)、ユーザーたちの可処分所得の伸び、もしくは端末自体のプライスダウンなどによって、iPhoneがシェアを逆転する可能性は十分にあるのかもしれません。iResearchが、スマートフォン一般に関するデータとは別に、iPhoneに関するレポートを発行しているということ自体が、いまだスマートフォン市場におけるシェアは固定したわけではなく、iPhoneにはポテンシャルがあると目されていることを語っているようにも思えます。

ただ、TechNode が別のデータを引いて報じているように(記事)、中国でのはiOS端末の34.6%、iPhone 3GSとiPhone4に限っていえば40%近くがジェイルブレイクされているというデータもあることも考えると、中国市場への浸透を図る前に、他の市場とは別のエコシステムを模索するということもありえるかもしれません。

* 当該のレポートは無償公開されていないため、元データは確認できていませんが、(1) 調査サンプル数が893サンプルと少数なので、サンプルの抽出方法、(2) 「スマートフォン一般」にはどういったものまでが含まれるのか、の2点が気になります。


[Summary]
According to iResearch’s article, iPhone users in China tend to be a bit older than users of regular smartphones. The article indicated that it was because of iPhone’s higher price and many features in it. If so, iPhone will acquire much users when people in China have much wealth or the prise of iPhone are discounted. But another article says that about 40% of iPhone in China has been jailbroken, so Apple may build their own new eco system before expanding its share.

Written by shungoarai

5月 22nd, 2011 at 3:00 am

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[Data]中国のインターネット人口に占める若年ユーザー

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先日、「インターネットの普及フェーズと技術フェーズの差」というエントリーをポストして以来、インターネットの浸透度について関心をいだいているさなか、ある記事を読んで驚いたあまりTwitterに投稿した内容がこれです。

SurprisedAtTaomeeUserNumber

TechNode の「淘米 vs 騰訊 – 子ども用SNS市場での戦い」という記事を読んでの感想だったのですが、記事中で紹介されている中国の子ども用SNS市場をリードする淘米網(TaoMee)の登録ユーザーが1億8000万人、そしてそのうち3〜5000万人がアクティブユーザーだという 情報は、はじめこそ驚いたものの、後から考えるとその規模が信じがたく、とりあえず中国のインターネットユーザーに関する統計を参照してみました。

中国互聯網絡信息中心(中国インターネット情報センター、CNNIC)が定期的に発表をしている “Statistical Reports on the Internet Development in China” の最新版(第27版, 2011年2月28日, PDF文書)によれば、2010年12月時点の中国のインターネット利用者数は4億5730万人です。

中国のインターネット人口推移(CNNIC)

また、同じ報告書にはインターネット利用者の年齢構成もあり、それによれば10代が27.3%、20代が29.8%と、かなり若年層に偏った構成になっていることが見て取れます。

中国のインターネット利用者年齢構成(CNNIC)

インターネット人口が4.6億人の国で、登録ユーザーが1.8億人ということは40%弱ということになりますし、「子ども用SNS」の対象年齢の定義は上記のTechNodeの記事のみではわからないものの、その数は10代の全インターネット利用者数をはるかに超えているわけで、これは簡単に信じることは難しい数字と感じます。

しかし、これとは話は別にしても、中国のインターネット利用者に占める学生の割合の大きさには眼を見張るものがあります。CNNICの統計によると、学生が全体の30%を占めていることがわかります。

中国のインターネット利用者職業構成(CNNIC)

この統計から短絡すると、あるいは中国のインターネットサービスはいまのところ可処分時間の多い利用者たちに支えられているということができるかもしれませんし、それはインターネットのより一層の普及によってトレンドが変わる余地が多分にあるということかもしれません。


[Summary]
According to a TechNode article, a leading kids SNS in China, “TaoMee”, has 180M registered users and 30M to 50M active users, but it seems a bit incredible when referring to CNNIC’s internet statistics in China which shows whole internet population in China was 457M as of December 2010. On the other hand, CNNIC’s data saying 30% of whole users were students may tell us that current Chinese popular web services are mainly supported by such youth having much disposal time.

Written by shungoarai

5月 15th, 2011 at 12:00 am

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